「長命草<学名:Peucedanum japonicum>」とは、豊富な栄養素を含む明日葉と同じセリ科の野草(多年草)で、四国、九州、沖縄などの海岸に自生しています。塩生植物といわれる長命草は、海岸などの潮風が吹き付ける他の植物では育たないような過酷な自然環境でも、たくましく育つ生命力と栄養価に富んだ植物です。
牡丹の葉に似ているところから、和名では「ボタンボウフウ」と呼ばれます。沖縄などでは古くから健康に良い野菜として利用されてきました。「1株食べれば、1日長生きする」といわれていることから、「長命草」と呼ばれるようになったと伝えられています。
オリーブオイルよりもポリフェノールを多く含み、消化器系の健康に欠かせない食物繊維も非常に多く含んでいることで注目を浴びる野菜です。その他の多様なビタミン・ミネラル類もバランス良く含まれる健康価値の高い野菜といえます。
小豆島での栽培について香川大学農学部 東江教授からは、「四方を海に囲まれた小豆島での露地栽培は、塩生植物である長命草に適する」とも提言いただき、自然志向の農家でつくる『小豆島長命草の会』が栽培を始めました。栽培方法は4年間の試行錯誤を経て、農薬や化学肥料を使わない独自の栽培方法を見出しました。肥料には食品資源の循環にも配慮して、島内でできる醤油粕などを利用しています。
現在では、小豆農業改良普及センターの協力のもと、オリーブ堆肥と醤油粕を混ぜたものを畑に投入し、その割合により長命草の変化と土壌への影響を研究しています。現段階では、醤油粕の割合が高い物が非常に良く育ち、栄養価にも影響が出ることが分かってきました。まさに、小豆島ならではの栽培方法による安全で安心な長命草を実現し、栄養価値が高く、健康に良い食材としての期待が高まっています。